初学者に最適な言語習得方法考察:Duolingo
新しい言語を学ぶ、と聞いて皆さんは最初に何をしますでしょうか。本を買う、近所の言語学習のスクールに通い始める、言語学習アプリ…色々あります。
私もポリグロットを目指す中で、外国語をどうにか独学で学ぼうと、色んな方法を試しました。その活動を経た上での考察を、共有させていただきます。
あくまで、個人的な視点で、「知識ゼロ」からのスタートを切るのに何がベストか、を考えるものであって、教材として何がベストかを語るつもりはありません。一概に「これが正解」とは言えないのですが、一つのサンプルとして参考にして頂ければと思います。
今回は、「Duolingo」について考察します。
Duolingoとは
Duolingo(デュオリンゴ)は、米国に拠点を置く言語学習アプリ企業が提供する教育プラットフォームです。基本的にはスマホアプリやブラウザで利用することができます。
言語学習の専門家によって設計され、世界中で数億人に愛用されています。 英語、中国語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語などを、会話レベルまで練習できます。 いつでもどこでも気軽にできて、通勤や通学などのスキマ時間にもぴったり。
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.duolingo&hl=ja&gl=US
対応している言語は40以上ということで、非常に多くの言語に対応している、凄まじいプラットフォームです。世界で一番使われている言語学習アプリでしょう。
ちなみに2023年で人気だった言語ランキングはこちら。日本語は5位だったようで、割と人気ですね。
使い方
アプリをインストール、ユーザ登録をした後、学習コースの設定ができます。
「何語」をもとに「何語」を学ぶかという設定をします。
例えば、日本語をもとに英語を勉強してもいいですし、英語をもとにスペイン語を勉強するなどしても良い。この組み合わせは色々あります。幅広い言語を学びたいならば、英語をもとに他言語を勉強するのが一番選択肢が広がります。
すでに英語を話せるのであれば、「日本語で他言語を学ぶ」のではなく、「英語で他言語を学ぶ」ほうが往々にして選択肢が多い上に、学習効率は良いです。
日本語は特に西洋の言語との差が大きいです。日本人は英語を学ぶのが得意ではないですが、英語圏の人も日本語を学ぶのは非常に難しいです。
一方、中国語などのアジア圏の言葉を覚えたい時には日本語で勉強した方がいいかもしれません。ここは私も手探りです。
コースの設定ができたら、スーパーマリオのステージ選択のように、順に円形のステージをクリックしながらレッスンを受けて、下へ下へとステージを進んでいく、という使い方になります。
アプリの特徴
Duolingoは非常に優れたアプリで、色々な素晴らしい特徴があります。
レッスン構成の質が高い
各レッスンのレベルが非常にうまく設定されており、新しいことを学ぶタイミングと、学んだことを繰り返して覚えるタイミングが絶妙です。
初学者が本当に知識ゼロからスタートすることも可能で、とにかく新しい言語を学びたければDuolingoからスタートできます。片手に辞書を用意したりしなくても、直感的に次々と新たな表現を学んでいくことができます。
英語は語学力の国際的基準であるヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)に沿って作られております(他の言語は正確にこれ、とは書いていないので、そこは明確ではなさそうですが、よく作り込まれていると思います)
リーディング、ライティング、スピーキング、リスニング対応
各レッスンコースに、リーディング、ライティング、スピーキング、リスニングを満遍なく鍛えられます。
スピーキングでは音声認識機能もあり、スピーキングでは自動で聞き取りチェックしてくれます。(スペイン語は発音がいい加減でも伝わる言語なのですぐに正解になりますが、中国語でいい加減な発音をすると不正解になるなど、きちんと味付けされてます。)
巷のAI英会話アプリと比べると、実施できる英語会話の柔軟さ、音声認識精度は劣ったりするかもしれません。ただ、そこが問題で学習が進まないっていう話ではないので、体系的にまとまっていてこれだけ完成度の高いアプリは他のアプリと比べても欠点を補って余りある感じだと思います。
基本無料
基本無料で使うことができます。有料プランで色々な付加機能が使えますが、無料でも全く問題なく使えます。
UIが良い
とにかくUIが優れていると思います。
使いやすいし、デザインが可愛いし、上手くできた時にキャラクターが喜んでくれたり、間違えた時にキャラクターが残念がったりしている様子を見て、楽しくやれます。
独学で勉強している間、何か話をしたりしても誰かから反応が返ってくることがなく寂しい時がありますが、Duolingoをやっているとキャラクターが反応してくれるので、学習の孤独が紛れます笑。
初学者に適しているかの考察
メリット:継続を促す仕組み
初学者の一番の課題は「継続できるかどうか」です。効率が悪かろうと、記憶力の良し悪しがあろうと、とにかく継続していればスキルは伸びていきます。とにかく新しい言語に関わり続けることが大事です。
その観点からすると、Duolingoは最強です。
Duolingoは、とにかく日々の継続を強制してくる催促力が本当にすごい、というのが私の感想です。何日間連続したか、という数値を「Streak」という名前の項目で管理していて、このStreakをとにかく伸ばそうと働きかけてきます
通知はガンガンきますし、メールでも催促がきます。そして通知の時に、「Duo」という緑色のフクロウ?のキャラクターが感情豊かに催促してきて、継続しないことへの罪悪感を突いてきます。1日の終わりのギリギリまでレッスンをやらないと激おこのDuoが出てきます。原色の赤に近い色で通知が来る時があり、ちょっとビビります。
真っ赤でなくても、この強めの黄緑でプッシュ通知が来るので、目立ちます。
Duolingoの情報によると、14日間続けると、その後の継続性が良いデータがあるそうです。確かにそんな気がします。
ちなみに今でも自分は継続していて、現状479日連続でという記録です。
もう1つ継続性を高める仕組みとして、「リーグ」があります。レッスンをこなした分が経験値(XP)として貯まっていくのですが、1週間に貯めたXPの量に応じて「リーグ」のステージが上がっていきます。
XPを集めれば集めるほど、レベルの高いリーグにいくことができ、やる気のある人どうしでXPの高さを競い合うことができる仕組みになっています。逆にサボっていると、リーグが落ちていく仕組みです。
リーグを落としたくない、負けず嫌い、という人はこれも1つ言語学習のモチベーションになりそうです。
ちなみに最高位のリーグはDiamondですが、私は一歩手前のObsidianリーグまでしか到達したことがありません。Diamondまで行く人は本当にすごいと思います。
デメリット:初級者レベル以降のスキルアップに課題
敢えてデメリットとして書くべきものはないのですが、強いていうならば、という話になります。あくまで私の感想ですが・・・
なぜ限界が来る理由については3つあると感じています。
- 「教材」としての限界。教材である以上、学習する側は、受動的に与えられたテーマやフレーズに対して、訳したり、発音したり、聞き取ったりすることしかできない。最終的なゴールが「ネイティブと話せるようになること」などのような場合は、どうしても自発的にトピックを考えて、それを自在に話せるようになる必要があるが、そのトレーニングはできない。母国語Duolingoというよりは教材としての限界。
- 瞬発力が求められない。他言語で会話する際には、相手が話をしてきたのを聞き取り、それを理解して次の言葉を考え、話す、それをスピーディーに繰り返す必要がある。その瞬発力を確保するには、一度母国語に脳内で変換して理解するような工程を省いて、その言語のままで理解し対応するというような瞬発力が必要。ただこのアプリだと、そこまでの瞬発力は鍛えられない。
- 自分のペースでやりたくなる。これも教材としての限界、に近い。学んでいる中で、もっと自由にあれこれ勉強したいと思う。ある日、ネイティブの友達ができて、明日話そうっていう際には、このDuolingoのコースを高速にたくさんやるより、話したいことをまとめて話す練習をするなどの方法の方が効果的になる。