小説で英語学習 “Enemy” by Lee Child(1)
今回はLee Child作のEnemyという英語の小説の中で出てくる表現を学んでいきます。
- 題材説明
- 表現紹介
- Will it be?
- She’s all bone and sinew
- Uncle Sam’s Paycheck
- Brass
- Humvee
- I shuffled it off to headquarters.
- There’s nothing very exotic available in this neck of the woods.
- A buck gets ten he had a briefcase to match.
- Semper Fi
- he wanted to get his rocks off
- “Temporary detached duty”
- Fibrillation
- Dumpster
- その他いろんな米軍表現
題材説明
“Enemy”は、2004年に発売されたJack Reacherシリーズの八冊目の本で、一人称視点で描かれています。
The Enemy (published in 2004) is the eighth book in the Jack Reacher series written by Lee Child. It is narrated in the first person
https://en.wikipedia.org/wiki/The_Enemy_(Child_novel)
私はJack Reacherシリーズのことはよく分からず、いきなり八冊目から読んでいますが、楽しく読めているのでいいかなと思っています。
Lee Childは、政治家の河野太郎さんが英語を学ぶときのおすすめの書として挙げてくれてますね。河野太郎さん的には英語表現が簡単だから良いという話ですが、結構独特な表現がたくさん出てくるので勉強になると個人的に思っています。
特に、主人公がアメリカの軍人という設定なので、米軍用語がたくさん出てきます。階級や、特別なコードとか、色々あって面白いです。
「Enemy」はLee Childの小説で、元軍人のジャック・リーチャーが主人公です。リーチャーは元々は警察官でしたが、事件の真相を追ううちに軍に戻ります。彼はロシアからの脅威に直面し、戦略的に考え、危険な状況を判断しながら行動します。リーチャーは常に冷静で計画的でありながら、時には直感で動くこともあります。物語は緊張感に満ち、読者を次々と展開するアクションとスリルに引き込みます。
表現紹介
Will it be?
飲み物いかが?
次のような文章が出てきました。
She put the coffee down on my desk, both mugs. “Will it be?” she said. “Don’t see why not,” I said.
普通に読んでいくと、
- 彼女は私のデスクにコーヒー置いた。両方のマグをだ。と言うところまではわかる。
- そのあとWill it be?と聞いて、Don’t see why not (ぜひとも)答えているわけだ。え、このwill it beって何・・・?となる。
実はこのWill it be?は、お店で店員が飲み物を聞くときの表現なのです。
今回のケースでは、コーヒーを持ってきてくれた女性の軍曹(She)が、ちょっとふざけて男の主人公に「(コーヒーを持ちながら)いかが?」と聞いていて、「是非とも」と答えるシーンなのです。
下記サイトが参考になるかと思います。
She’s all bone and sinew
彼女はひたすら骨と筋肉だけでできている(=彼女は強い)
- 直訳すると、「彼女は骨(bone)と腱(sinew)でだけで出来ている」。
- 最初骨と腱だけなので、筋肉や脂肪がなくて痩せているということかと思ったが、逆だった。
- sinewは活力的な意味もある。ちなみにSinewはスィニューと読みます。
Uncle Sam’s Paycheck
アンクル・サムの小切手=アメリカの財源
- アンクル・サムとは、よくアメリカを象徴する兵隊募集ポスターで「I Need You」と言っているあのおじさんである。
- アンクル・サム自体がもはや「アメリカ」を意味しているので、このケースは「アメリカの財源」である。
- ベルリンの壁崩壊に際して、共産主義が倒れたことを良いことかどうかという話をしていた時に、この単語が出てきた。「良い出来事ね」と言ったら「アンクル・サムの小切手を当てにしているなら、どうかな」的な返しをしているシーンで使われていた。
“We won,” I said. “Isn’t that supposed to be a good thing?”
“Not if you depend on Uncle Sam’s paycheck.”
Child, Lee. The Enemy: A Jack Reacher Novel (English Edition) (pp.11-12). Random House Publishing Group. Kindle 版.
Brass
高級将校連、お偉いさんのこと
- Brassは本来真鍮などの意味があ離、Brass hatと言う真鍮製の金ピカの帽子=お偉いさんがかぶる帽子から転じて、Brassでお偉いさんとなったらしい。
- Brassは、米軍だと「高級将校連」を意味する。財界の重鎮や、高官連にも使える。
- Brass自体が偉そうにすることの象徴なので、「He had the brass to tell me I was wrong」というと、「彼は厚かましくも、私が間違っているといった」という意味になる。have the brassで偉そうに〜というニュアンスを表現できるようだ。
Humvee
高機動多用途装輪車
- 正式には、HMMWV: High Mobility Multipurpose Wheeled Vehicle=高機動多用途装輪車両の略。
- この画像のようなごっついミリタリー車のことを意味します。「あぁ、あれか。みたことあるな」と思ったのではないでしょうか。
I shuffled it off to headquarters.
その話は本部に押し付けた
- ここでの “shuffle off” は、「取り除く」や「回避する」という意味合い。
- 具体的には、自分の責任や対処すべき問題を他の上位組織や責任者に委ねるという行動を指します。
There’s nothing very exotic available in this neck of the woods.
この辺りではあまり珍しいものは手に入らない
- Neck of the woodsは、特定の地域や地域の一部分を指す俗語的な表現。日本語では「この辺り」「この近所」といった意味合いで使われます。
A buck gets ten he had a briefcase to match.
彼がそれに合うブリーフケースを持っていることに、俺は10ドル賭ける
- “A buck gets ten”は、賭け事などに使われる俗語。
- gets tenで10倍になる。つまり1ドルかけたら10ドルになるような局面で賭ける、ということに相当する。日本語でそのまま理解するのがちょっとわかりにくいが、素直にそのまま理解しておこう。
Semper Fi
常に忠実を
- semper fidelis(常に忠実な)の略。
- 海兵隊のモットーで出てくるラテン語らしい。英語ではない。
- 小説では海軍の人に対する冗談というか掛け合いのようなところで出てきた。
he wanted to get his rocks off
彼は性的に満足したかった
- get one’s rocks offで、性的に満足するという俗語。
- なんでこんな表現が出てくるか興味のある方は、小説を読んでみてください。
“Temporary detached duty”
一時的な派遣任務
- 軍事用語で、一時的な分離任務を指します。
- 通常の勤務地や部隊から一時的に離れて別の任務に就くこと。
Fibrillation
細動
- 医学用語。auricular fibrilationで心房性細動。
- この単語は人生で滅多に出てこないだろう、と思っていたのですが、Amazon PrimeでRUNと言う映画を見ていたら出てきたのでびっくりしました。
心房細動とは、心房といわれる心臓の上の部屋が小きざみに震え、十分に機能しなくなる不整脈のひとつです。 動悸(どきどき)がしたり、めまいや脱力感、胸の不快感を感じたり、呼吸しにくい感じがしたりすることもありますが、自覚症状のない方もたくさんいらっしゃいます。
Dumpster
金属製のゴミ箱
- よくアメリカの映画とかに出てくる路地裏のでかい金属製のゴミ箱です。一応商標らしいですが、一般用語的に使われるようです。
その他いろんな米軍表現
- Sergeant 軍曹
- Infantry 歩兵
- Camo カモフラージュ(Camouflage)の略。
- Colonel 大佐
- Vice Chief 次長
- Vice Chief of Staff 参謀次長
- Fort 駐屯地、砦
- Off-post 基地外。postが基地という意味がある。