初学者に最適な言語習得方法考察:本(CD付録付き)
英語や他の言語を学び始める初期段階において、どんな方法を取ると良いかを考察します。
今回は、「本(CD付き)」が言語初学者にとってどの程度良いかを考察してみようと思います。
あくまで初学者に向いている学習方法かということを議論するので、方法自体を否定するつもりはないのでご了承ください。
本で勉強してゼロから外国語習得できるか
本から独学して外国語が話せるようになった人見たことがあるか
私は「ある本を元に勉強したら、ゼロから独学で外国語がある程度話せるようになった」という人もあまり見たことがありません。
「本で外国語を勉強しようと思ったけれど、三日坊主で終わってしまった」ということをよく聞きます。もちろんすぐに投げ出してしまう、というケースもあります。
ただ、すごく勤勉で投げ出さずに学習を続ける人でも、なかなか本を元に勉強してぺらぺらになる人を見かけません。
そもそも日本人は世界的に見ても勤勉で、英語のテキストブックが雑巾かと思うくらいボロボロになるまで勉強する人がたくさんいるのに、英語が話せない人だらけです。高学歴であろうが、英語話せない人が日本人にはあまりにたくさんいます。
ものすごく言語習得が早い人、独学で英語を学んだ人であっても、大体は「映画やアニメで覚えた」など言っていて、あまり本だけで学んだということを聞いたことがありません。
本で元々の語学力が向上したという人は見たことがある
一方で、英語がある程度話せる人が、洋書を多読して語彙力が増えた、さらに英語力が上がった、レベルアップした、という話は聞きます。
これは話せるようになったというより、元の能力が知識が追加されて強化されるケースです。
日本人が多くの本を日本語で読んで、語彙力や読解力が伸び、話す言葉の表現の幅も広がる・・・というのと同じで、基礎がある場合は本は有効そうです。
買って満足して終わる外国語入門書
実経験からいくと、私も10年くらい前に「ポリグロットになりたいな」と思って、5冊以上の異なる外国語の入門書を購入しました。
その時点で英語はそこそこ話せた状態だったので、この素地があれば全部の入門書をマスターして、いろんな言語を喋れるようになるんじゃないかと思い、成功した自分を想像し、ワクワクしました。
しかし、結果は残念。
そこで購入した言語習得本は全て本棚で眠ったままになっているか、メルカリで売ったかのどちらかの運命を辿ることになりました。
買って満足した時がピーク。あの時のワクワク感はどこへ言ってしまったのだろう。
そういう経験を経ますと、本というものは何か、本の正しい使い方は何か、本はそもそも初学者に向いているのだろうか、ということが気になってきます。
「本」というツールの効果と限界
「本」とは何か
改めて「本」とは何でしょうか。
人類は本に情報を残すことで、時代を超えて重要な情報を後世に継承し、発展し続けることができてきました。情報量もさることながら、保存にかかるエネルギーも少なく、長期間保存できます。
言わば、「本」は人間が発明した最強ツールの1つであることは間違いありません。
言語に限らず、何かしらの新しい分野を勉強したいなと言った時、最も一般的な学習開始方法として、「本屋に行って本を買う」という方法が取られると思います。
国語、算数、理科、社会、英語・・・一通りの義務教育を受けるときに、本は常にそこにありました。なので、勉強すると言ったら「本」だ、となります。
あらゆる面で効率よく情報を得るためであれば、本以上のツールはそうありません。
今やYoutubeやネット記事で多くのことを学ぶことができますが、情報の「一覧性」と「量」、責任を持って本を世の中に出すレベルに至っているという「信頼性」と言った意味で、良質な情報がまとまっていることが多く、特に良書と呼ばれる類のものは、時代を超えて愛されるものです。
「本」の限界
確かに本は、重要な情報を知り、学習するためのツールとしては素晴らしいものです。
但し、本には当たり前ですが文字しか載せられません。
なので、本だけでは、言語学習でいうところの「リーディング」はできても、「ライティング」「スピーキング」「リスニング」はできません。
言語の学習をする時のステップは、一般的には下記の順です。
- リスニング(聞く)
- スピーキング(話す)
- リーディング(読む)
- ライティング(書く)
つまり、まず言語を学ぶときに最初に必要なのはリスニングです。
初手で必須となるリスニングができない時点で、本から入るのは正直厳しいです。
もちろん、言語習得の面で本が全然ダメというわけではありません。
むしろ、ある程度の言語の知識がある人が本を元に、追加の知識を得ようとするのであれば、本は素晴らしい。
けれど、初学者に必要な学習要素が本では表現できないと思います。
CD付録付きの本なら良いのか
では、CD付録付きの本ならどうでしょうか。
CDがついているので、リスニングからスタートできます。本に書いてある内容を見ながら、音声を聞いて、綺麗な発音を元に勉強ができます。何だか良さそうな気がしてきます。
ある意味、先生が話している言葉を聞きながら本を読めるので、授業を受けているのと同じような環境を作り出すことができるはずです。
もちろん、「リスニング」「リーディング」しかできない、「ライティング」「スピーキング」ができない。それは分かるけれど、コスパ的にそこそこいいのではないか?という気持ちもしてきます。高いオンラインレッスンやら、サブスクのアプリに金を払うより、結果的にコスパが良いのではないかと思ってしまいます。
結論から行くと、私の意見としては、CD付録付きの本も普通の本と大して変わりません。これにはいくつか理由があります。
CD付録付きの本が初学者に合わない理由
前節に「CD付録付きの本も、普通の本と大して変わらない、初学者には不向きだ」という過激な意見を書いたのですが、その理由をいくつかの観点で書いてみようと思います。
スピーキングができなければ意味がない
前節にも書きましたが、言語を学ぶステップは一般的に下記のような順序であると言われています。
- リスニング(聞く)
- スピーキング(話す)
- リーディング(読む)
- ライティング(書く)
ただこれは、「リスニングをマスターしてからスピーキングやリーディングに行こうぜ」という意味ではないと思います。というか、その工程はあまりにハードです。あくまでこの4要素について、単純化した場合にどの順序で学ぶのが普通かというのを構造化したものです。
もしある言語を「話せるようになりたい」であれば、「リスニング」と「スピーキング」が大事です。そして、リスニングを鍛えるにしても、リスニングをずっとやるのではなく、スピーキングとリスニングを行き来することで、初めてリスニングをできるようになります。
よく外国語が得意な人が言いますが、「自分が発音できる単語やフレーズは、聞き取れれます」。基本的にスピーキングができるようにならないと、リスニングはできるようになりません。
ある意味で本も使い方次第で、CDの音声を真似ていっぱい発音する、などのワークをすれば効果が出ると思います。
過去に、ただただ海外ニュースをずっと流し聞きしているとか、外国語教材CDをずっと流してて運転中に聞いているという人を見たことが何度かあります。私の印象ですが、彼らは「音源を元に外国語のリズムになれる」というのは非常によくできています。
ただ、外国語を聞いて、それを肌感で意味のある情報として「聴く」レベルになかなか言っていないことが多いです。スピーキングが伴わないと、なかなか次のレベルにいかないと思います。
発音が学びにくい
本によく発音記号や発音の時の口の動かし方のようなものが書いてあることがあります。付属してあるCDで、大体こういうものかというところまで感じ取れることがあります。
けれど、結局その情報から自分が果たして正しく発音できているか、わからずに終わります。テキトーに済ませて、結局習得できずによく終わります。
スピーキングをする中で、発音は非常に重要な要素です。発音が良いと、自信を持って言葉を発することができます。完璧は難しいですが、少なくとも伝わる発音に至らないと悲しいです。
外国語で頑張って話しかけたのに「え?なんて言ったの?全然わからない」と返されると悲しいですよね。悲しいんです。
逆に、外国語で話しかけた時に、きちんと相手に伝わる時、喜びを感じます。努力が報われるというか、これが外国語を学んでよかったな、そう思えます。個人的にはこれが醍醐味だと思うので、発音を習得できるような学習法を取り入れるべきだと思います。
継続するモチベーションが保ちにくい
やはりというべきか、入門書は内容がつまらないことになりがちです。
基本的な挨拶であったり、トイレの場所を聞く表現であったり、文法上の話だったり、男性名詞・女性名詞・中性名詞、活用形、大量のランダムな知識を載せていきます。
きっと言語学に面白みを感じるようなマニアックな人であれば良いですが、なかなかそのコンテンツ自体に面白みがないとき、多くの人はそこに面白さを感じることができません。
面白くないと、モチベーションも保てません。本ブログは独学する初学者を想定していますが、そういう人にはなかなかフィットしないだろうと思います。
では本は買わなくていい?
色々と過激なことを書いたので、「本は買わなくていいの?」と言われてしまうかもしれません。
ただ、ああだこうだ書きつつ、本はいくつか買っておいて良いと思います。
本単体で勉強することはお勧めできませんが、Duolingoのようなアプリや、オンライン会話、Youtube、ネット記事などと合わせて知識を確認する集約された情報源としては役立つと思います。
特に、初学者から少し先に進むときに、良い参考書を1つ持っておき、何かあったときの知識の補正や参照先として持っておくと良いと思います。
中上級者になると、本から学ぶというのは、必須になります。何かしらの文法を学ぶとき、ないしは小説などのコンテンツで言語に触れる時、それは必要になると思います。